久々に万年筆を買いました。30年以上前にはまって以来、数本だけ所有して使っていましたが、WatermanのCarèneを買ったのをきっかけに爆買いして1年で100本以上になりました。実際に買って使ってみてわかったのは、楽器の世界と同じように、値段の高さと品質は比例しないということ。結局、手元に置いているのはMontblancの144と145、パイロットの明石文昭堂90周年記念万年筆、TWSBIの580です。
というわけで、また使う方に極端にシフトして購買欲とは無縁な生活を送っていたはずなのに、買ってしまいました。中国は上海発のブランドMoonmanの丸彩です。
日本の工房、helicoのシュクルのそっくりさんです。偽物というかコピーというか。(笑) そもそもの話、万年筆の世界は似たようなものであふれてますけど、これは「やっちまったな」と。
ちなみに本家(シュクル)の値段は2万円〜で、こちらは・・・1500円〜となっています。安い!
箱の中。スポイトが2本ついてます。
Moonmanオリジナル?のカートリッジもついてます。欧州規格でした。
そして本体。今回は地味なのを選びました。他にもいくつか種類があるようです。シュクルにそっくりです。
せっかくなので本家と並べてみました。実際に比べてみると、細かいデザイン?の差があります。
分解したところ。透明度は本家の方が上です。
丸彩の凄いところはカートリッジも使えるしアイドロッパーとしても使える点です。首軸の部分にOリングがついています。
ペン先。シュミットですね。
裏側。
本家同様、キャップは胴軸の後ろにつなげられます。
若干、丸彩の方が細いです。
インクを入れて書き比べてみてまず感じたのは、丸彩の方が段差が少なく、違和感を感じません。シュクルは丸彩の後だと持ちづらいです。
また、シュクルがペンブランクからの削り出し、丸彩が金型を使った成形で作られているからか、シュクルは重量のバランスが悪いです。削られていない部分が重くなり、重心が中央の後ろ寄りになってしまうんですね。丸彩は非常に軽量なので立てて書いても寝かせて書いても苦になりません。
上記の理由からアイドロッパーとして使う際はインクが大量に入ります。シュクルのアイドロッパーの3倍以上は入るのでは。
実際に買って使ってみて、中国の技術力は侮れないなと。笑いものにするどころか脅威に感じるレベルまできていますね。丸彩はエボナイトでも4000円くらいで買えますし、首軸のOリングなど本家を超える工夫が凝らされています。凶器に使えそうなくらいずっしり重い軸ばかり出していた頃が懐かしいです。
ただ、軸の柄のバリエーションの豊富さは本家の方が圧倒的に上です。helicoさんはクリスエールのように自前でペンブランクを作る技術は今はありませんがね。
ちなみに、字幅はFでもやや太めです。万年筆としての機能は問題なく、すらすら書けます。かすれたりはしません。
楽器に例えるならシュクルはGibson Les Paul、丸彩は日本製のLes Paulレプリカってなところでしょうか。値段では圧勝、品質やアイデア(首軸のOリングとか)の部分でも本家を超えています。でも、レプリカはレプリカ。
ダメ元で買ったら想像以上に良かったので、エボナイトの丸彩も買おうと思います。
万年筆はぜんぜん詳しくないけど万年筆が好きな会社の同僚に「片方は安い中華製だよ」と伝えてシュクルと丸彩の書き比べをさせた結果については・・・書かないでおきます。シュクルは宍倉さんに調整してもらってたのになぁ。
ほなほな。