CBSの社長だったClive Davisが1973年に解任されたことで、PaulはCBSと契約延長はしないだろうと思われていたそうですが、Paulが新天地として選んだのはWarnerで、なんと映画を作りました。
当初、Paulは誰かと一緒に映画を作って、その映画のための曲を書きたかったようです。しかし、その誰かが見つからなかったため、自分で脚本を書いて主演まで務めてしまいます。
完成した映画”One Trick Pony”はヒットせず、日本での公開もなし。2009年までDVD化もされませんでした。落ちぶれたミュージシャンが主役でハッピーエンドではないと聞くとそれも仕方がないかなと思います。ちなみに私はまだ映画は観たことがありません。そのうちDVDを手に入れて観てみようかな・・・とは考えています。
収録曲は以下の通り。例によって例のごとく、好きな曲は赤字にしてます。
- Late in the Evening
- That's Why God Made the Movies
- One-Trick Pony
- How the Heart Approaches What It Yearns
- Oh, Marion
- Ace in the Hole
- Nobody
- Jonah
- God Bless the Absentee
- Long, Long Day
映画はPaul率いるバンドが主役?ということで、映画にも出演しているメンバーが演奏も担当しています。
- Paul Simon (Vo, G)
- Eric Gale (G)
- Tony Levin (Ba)
- Richard Tee(Key)
- Steve Gadd (Dr)
このメンバーで三流ミュージシャンを演じるのは無理がありますね。(笑)
過去作のような数多のアーティストとの共演ではなく固定メンバーによる演奏なので、音はさすがにまとまっています。BluesやJazzっぽさがあるRock & Rollみたいな。アルバムもそれなりにヒットしたようです。
”Late In The Evening”はPaulの代表作の一つで、Paulにしては珍しく明るい歌詞です。アレンジも秀逸で、ファンでなくても良い曲だと思うでしょう。
Paul Simon - Late in the Evening
"One-Trick Pony"、"Ace in the Hole"、"God Bless the Absentee"はバンドのサウンドが堪能できて良いです。特にRichard Teeのボーカルが聴ける”Ace in the Hole”は好きですね。
イントロのRichard Teeのピアノが良い”God Bless the Absentee”
One-Trick Pony Track 9 - God Bless The Absentee
このアルバムを初めて聴いたときから今に至るまで一番好きな曲は”How The Heart Approaches What It Yearns”です。
How The Heart Approaches What It Yearns
8分の10拍子という変態変則リズム、Eric Galeのガットギターを使ったプレー、何より情景が思い浮かぶ歌詞が好きで好きで。アレンジやメロディも含めて、完璧に近い曲なのではと勝手に思ってます。はい。
歌詞は特にこの部分とか好きですね。。
In a phone booth
In some local bar and grill
Rehearsing what I'll say, my coin returns
How the heart approaches what it yearns
コインを入れて電話をかけるなんて、「ダイヤル回して手を止めた」と同じくらい若い人には理解できない世界かもしれませんが、相手に想いをどう伝えればわからず悩む気持ちはたぶん世代に関係なく理解される・・・はずです。
”想いこがれて”という邦題もぴったり合いますね。Paulの作品に限らずまともな邦題がつくのは珍しい(ry
次回はPaulが後に失敗作と認めて、いろいろ物議をかましたアルバムについて書いてみます。
ほなほな。