1981年の9月に、ニューヨークのセントラルパークでSimon & Garfunkelのフリーコンサートが行われました。
元々、Paulにフリーコンサートの依頼がきて、それならとArtを誘った結果、世界ツアーに出ることになり、その後、発売されたのが今回取り上げる”Hearts and Bones”です。
S&Gの復活にファンは熱狂し、レコード会社は金儲けのネタができたと狂喜し、Artもソロとしては金太郎飴みたいなアルバムを出して売上も評価も落ち気味だったので、願ったり叶ったりだった・・・はず。
Paulが作り始めていたソロアルバムにArtが参加することで大ヒットした”Bridge Over Troubled Water”に続くアルバムが発売する流れになったものの、PaulはArtが録音した部分をバッサリと削除して、当初の予定通りソロアルバムとして発売しました。結果は・・・売上的には大失敗に終わりました。
ファンの怒りと失望はごもっともかもしれませんが・・・
PaulのアルバムにArtの声を入ればSimon & Garfunkelのアルバムになるって安易すぎませんか? 音楽なめてませんか?
と私は思います。PaulとArtが並んで歌ってりゃなんでもいいのかと。そうじゃないでしょうに。Simon & Garfunkelとして、ゼロから2人で作ってこそS&Gのアルバムになるんですよ。
なので、私はPaulの選択は間違っていなかったと強く言いたいです。はい。
収録曲は下記の通り。赤字はお気にいりです。
- Allergies
- Hearts and Bones
- When Numbers Get Serious
- Think Too Much (b)
- Song About the Moon
- Think Too Much (a)
- Train in the Distance
- Rene and Georgette Magritte with Their Dog After the War
- Cars Are Cars
- The Late Great Johnny Ace
全体的に、80年代っぽいサウンドです。楽器の音量バランスが悪いのが残念かな。ドラムやギターの音が大きすぎるときがあって気になります。1にはAl Di Meolaが参加していて速弾きを披露してます。ほぼ生音なので新鮮です。doo-wopっぽい8が異色を放っています。
あまりPaulらしくないAllergies
歌詞の方はかなりプライベートな内容で、1と2は2番目の妻となったCarrie Fisherとの関係を歌ったもの、7は最初の妻Peggyとの結婚のことを歌ったものとなってます。10は自伝的というか何というか。前作は映画の主人公について歌ったものなので対象的な内容になっています。
個人的に好きなのは”Hearts and Bones”と” Train In The Distance”ですね。どちらもライブで頻繁?に披露されています。
久々にPaulの名人技が堪能できる”Hearts and Bones”。
Hearts and Bones-Paul Simon [On-Screen Lyrics; HD]
前作の”How The Heart Approaches What It Yearns”同様、聴いていると情景が浮かんでくるような歌詞の”Train In The Distance”。
Train In The Distance - Paul Simon
弾き語り版もけっこう良いです。ギターのスタイルがS&G時代からだいぶ変わってます。
Train in the Distance, Paul Simon
信者に近いファンの私でも聴こうと思わない曲が何曲か入っていたりしていますが、「失敗作」で片付けられるのは非常にもったいないアルバムだと思います。
S&GのPaulではなくソロとしてのPaulが大好きなので、懐メロ大会をやられるよりはアルバムを出される度に「今回は何やってるんだろ?」と驚きたいですよ。(笑) 懐メロを聴きたいなら過去作を聴けばいいわけで。
次回はPaulの最高傑作と呼べるかもしれないアルバムについて書きます。
ほなほな。