公開日に見に行った「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」の感想を書いていきます。
SEEDとDESTINYは一応、リアルタイムで観てました。確か2006年くらいに劇場版の話が出て、その後、何の音沙汰もなかったのが18年後に劇場公開されるとは。しかも、興行収入はガンダムシリーズ歴代1位になったそうで。
まぁ、作品の質と興行収入は比例しませんし、今は入場特典という餌があったり、昔は一度劇場に入れば何回でも観られたりしましたから、興行収入で比較するのは野暮だと思ってます。
まずTVシリーズの感想を簡単に書いていきましょう。
SEEDは途中までは初代の良いオマージュという印象でした。ヒロインのラクスが出てきて登場機体を乗り換えたあたりからキラとラクスに好感が持てず、敵のクルーゼの方が好きでした。(笑) 特にラクスは平和を願うとか言いながら目先の戦闘に圧倒的な武力で介入して、カルト宗教の教祖みたいに思えて未だに大嫌いです。キラも前半の方がまだ好感が持てました。後半は言ってることが抽象的かつ曖昧で、ただのテロリストにしか見えませんでした。
続編のDESTINYは、監督はキラ、アスラン、シンを主人公として描きたかったようですが、ぜんぜんうまくいってませんでしたね。キラに家族を殺されたシンという設定も後からキラの砲撃がなかったことになったりして、良作になりうる要素があったのに大失敗したという印象です。制作側の手に余ったんでしょうか。最後の戦いもキラとラクス、アスランの圧勝で終わって、何を観ていたんだろうと当時思いました。
採点するとSEEDは5点満点で3.5点、DESTINYは0.5点といったところです。
さて、映画本編の感想を書いていきましょう。
エンタメ映画としては悪くなかったかなといった感じです。春に公開される仮面ライダーや戦隊モノの映画と似たようなもんです。ファンを楽しませるための、娯楽に振り切った映画。それはそれで悪くはありません。
良かったところ
- 戦闘シーンが良かった。
- デスティニーガンダムが活躍した。
- TVシリーズよりキャラの描き方が良い。
- キラとラクスが人間っぽい。
戦闘シーンに関しては流石ガンダムといった感じで全体的に良かったです。それゆえに他の部分がダメでも誤魔化せてしまうわけですが・・・。今回からCGがより多用されて、TVシリーズでは艦船周りだけだったのがMSもCGになってます。宇宙戦艦ヤマト2202ではCGに対して否定的になりそうなショボさを感じたのが、今回はショボさも違和感も感じませんでした。個人的には金田伊功さんの絵を見て育ってきているので、手描きの方が好きではあります。
何故かオーブで修復されていたディスティニーガンダムが後半、大活躍するのはとても良かったですね。この映画で一番良かった点はこれかも。DESTINYでの不遇極まりない扱いで生じたモヤモヤが解消されました。ディスティニーが出る場面だけでも劇場に行って観た価値は十分以上にあります。
敵と今回モブ化したバルトフェルド以外のキャラの描き方も良かったです。ミレニアムの艦長のアレクセイやアルバートが印象的で、カガリもやっと職責に合った活躍をしていたと感じました。
TVシリーズでは悟りを開いたようで人間らしくなかったキラとラクスの人間臭い部分が描写されたのも良かった点です。いくらアニメだろうと、あの年齢でああはなりません。(断言)
血筋や家柄がどうであろうと、思想的な部分はやはり経験に肉付けされるわけで、才能や知識だけでは薄っぺらで脆弱なものにしかなりません。震災の時、被災地で過ごした人とモニターで観ていた人では得るものが違うのと同じです。
今回は恋愛面での人間臭さしか描かれませんでしたけど、まぁ、ないよりはましです。
良くなかったところ
- 前半と後半でテイストがガラッと変わる。
- 脚本と設定が陳腐。
- ラクスとオルフェの共鳴?シーンがクドくて恥ずかしい。
- 後半はギャグ映画。
良くなかったところでまず挙げられるのは、前半はSEEDっぽいのに後半は単なるお祭り映画と化したところです。どうやら前半と後半で脚本家が違うようで、なるほどなぁと。
その前半にしても、脚本としてはいまいちでした。劇場版の話を聞いてまず注目したのは「新しい敵」でした。出てきたのはユーラシア連邦から独立国した新興小国家ファウンデーション。物語途中で女王とその取り巻きだけ逃げ出して核で国民ごと国を滅ぼすんですが、少人数で地球を統治って。(笑)
小国が軍事要塞を掌握してラクスを引き入れたところで各国が従うとは思えず、戦争で勝てるとも思えません。艦隊や要塞にいる人員は核で殺された国民と赤の他人なんですかね? 恐怖だけで人は従いませんし、恐怖だけを用いれば待つのは無です。
人は「利」で動くので、「この行動で得られる利は何だろう?」という観点で観たとき、おかしな部分がけっこうあります。そもそも、SEEDの世界って政治力が軽んじられていて軍事力に頼りすぎているという重大な欠点があります。組織や政治に疎すぎるというか。
あと、あれこれ詰め込みすぎて台詞だけで済ませたり、説明不足な部分が多かったのも良くなかったですね。コンパスの成り立ちとか、アコードが何なのかとか、何故シンがキラをあそこまで慕うのか・・・等々。
そうそう、劇場でコンパスとソレスタルビーイング類似性について話してる人がいましたけど、ぜんぜん違いますし、複数の国家の後ろ盾があるコンパスが同じことをしちゃダメでしょう。
私がラクス嫌いだからか、ラクスとオルフェが共鳴するシーンはクドいと感じました。もうちょっと違う演出があったでしょうに。観ていて恥ずかしかったです。
後半はお祭り映画と書きましたが、ディスティニーの分身やマイティフリーダムの無双っぷりはやり過ぎだと個人的には思います。SEEDでのフリーダムとプロヴィデンスの戦いを描けたスタッフが何故?と。チート機体で勝つとカタルシスが得られないんですよ。
点数を付けるなら、5点満点で2点ですね。UCとかと同じで、戦闘シーンとかは良くても他がいまいちだと評価はできません。個人的には世界観と設定、ストーリーを一番重視するので。戦闘シーンだけなら満点です。
戦闘シーン以外の部分がしっかり作られてこそ、戦闘シーンが活きるはず。葬送のフリーレンがそうでしょう?
ほなほな。